測定データの見方
粒子径分布の表現
一般的に粒度分布の指標となるものが「ヒストグラム(頻度分布)」や「累積(積算)分布」です。
ヒストグラムは横軸に粒子径、縦軸に頻度を取ります。「100μm以下」や「100μmより大きく200μm以下」など、それぞれのデータに幅はあるものの、粒子径のばらつきやどの程度の粒子径の粒子が多いのかが一目で理解できます。
一方、横軸に粒子径、縦軸にある閾値以下(以上)の粒子の占める比率(累積%)を取ったのが累積分布です。累積分布は、特定の粒子径以下(以上)の粒子が全体に占める割合の指標となります。
これら粒子径分布の指標から読み取れる、粒子の特徴を示す値が「代表径」です。この代表径について、以下で詳しく解説します。
平均径
平均径は粒度分布の代表径の一種で、粒子の大きさ(横軸)とその頻度(縦軸)を掛け合わせて合計したものを、全体の頻度で割ったものです。平均径は、粒子径の基準や計算方法によって異なる値になります。
この平均径から、一般的に粒子がどの程度の大きさで分布しているかを把握することが可能です。
D50 メディアン径
粒子径分布の中央値となる指標が「メディアン径」です。累計頻度が「50%」の意味から「D50」とも呼ばれています。
メディアン径は測定データを小さいものから大きいものまで順に並べたとき、ちょうど中央に位置する粒子の大きさを示します。つまり、全粒子のうち半分はD50に相当する値より小さく、半分はこれより大きいということになります。
モード径
モード径とは、粒子径分布のピーク値(最も頻度が高い粒子径)を指すパラメータです。分布図で最も高い位置がモード(最頻値)となります。
モード径はメディアン径および平均径と密接に関係しています。粒子の分布によりこの3つの指標が同じ値を示したり異なる値を示したりすることで、特徴的なグラフを描きます。
分布幅
粒子径分布の分布幅は、粒子の大きさのばらつきを表す指標です。一般的に、粒子径分布の測定は、中心値のみではなく値のばらつき(分布幅)も含めて行われることが多いため、この幅をどう表現するかも重要です。
一般的に数値のばらつきの指標として用いられているのは「標準偏差(STD)」と「分散」ですが、粒度分布でよく用いられるのは、次の項で解説する「D10」や「D90」です。
D90、D10
D10やD90は、メディアン径(D50)と同様に定義される、粒子径分布のばらつきを示すパラメータです。
つまりD10は、粒子全体の10%がこの値よりも小さい粒径であることを示しています。一方、粒子全体の90%がこの値よりも小さい粒径であることを示すのがD90です。
累積分布において90%の粒子がこの径以下であることを示します。一方、D10はその逆で、累積分布において10%の粒子がこの径以下であることを示す値です。
この定義を用いることで、例えば「D1」や「「D99」など任意の割合に相当する粒子径を表すことができます。