エアロゾル
大気中に浮遊する微小な液体などであるエアロゾルは、風によって運ばれることで大気環境や人体に影響を及ぼしています。エアロゾルの動きには、粒径が大きく影響します。ここでは、エアロゾルの概要を確認した上でエアロゾル粒径の測定方法や与える影響について解説します。
エアロゾルとは?
エアロゾルは大気中に存在している微小粒子です。
- 一次粒子:粒子として発生して大気に放出されたもの
- 二次粒子:ガス状物質として大気に放出され、凝縮して粒子となったもの
生成過程の違いや気象学的な視程・色の違いから様々な呼ばれ方があります。
- 粉塵
- ミスト
- 煤塵(ばいじん)
- 霧
- もや
- スモッグ
エアロゾル粒子の大きさについて解説
エアロゾルは0.001μm~100μm程度まで広範囲の粒子径範囲を持っています。
0.001μmは分子やイオンとほぼ同じサイズ、100μmは花粉と同じサイズとなり、10μmを境に小さいものを浮遊粒子状物質(SPM)、大きいものを浮遊粉塵(SP)と呼んでいます。最近よく耳にするPM2.5はエアロゾルの粒径が2.5μm以下ということです。
その体積濃度分布は1~2μmを谷として微小、粗大粒径域がピークとなる二山型ですが、個数濃度分布は0.01μmにピークを持つ一山型です。
エアロゾル粒径の測定方法
エアロゾル粒径は幅広いため、サイズに応じた測定方法が必要となります。0.3μm以上は光学的な測定が用いられることが一般的ですが、それより小さな粒径になると特殊な測定が必要です。
主な測定方法を見てみましょう。
- 動的光散乱法:粒子の大きさや形状などによって変わる光さんランを利用して測定する
- レーザー回析法:粒子にレーザーを照射して回析・散乱した光の角度変化を測定して粒径を測る
- 遠心沈降法:大きい粒子は早く、小さい粒子はゆっくり沈降する現象を利用して粒径ごとに分けながら分析する
- 電気的検知帯法:電解質溶液などに粒子を懸濁させ、体積と個数を電気的に測定する
- 顕微鏡法:エアロゾルを捕集して顕微鏡で粒子の形状、大きさを直接測る
- 重量法:ろ紙などでエアロゾルを集め、その質量を天秤で測る
- 拡散法:微小粒子のブラウン運動を利用し、気体分子と衝突して壁面に付着した粒子から粒径を測る
エアロゾル粒径が与える影響
人体への影響
エアロゾルは鼻や口などの呼吸気道系から体内に入りこみます。人体への影響には粒径が大きく関わっており、粒径が2.5μm以下のPM2.5は肺胞まで到達しやすく、呼吸器系の疾患、循環器系径の疾患を引き起こすリスクがあります。
また、それよりも粒径が大きいPM10も様々な影響を及ぼすことが心配されています。
主な症状を挙げてみましょう。
- 刺激性炎症性障害
- 感染症
- じん肺
- アレルギー鼻・気道炎
- 粉じん吸入による中毒
環境への影響
エアロゾルは太陽光を散乱・吸収する作用や、雲の凝結核・氷晶核となり雲を変調させる作用があります。エアロゾルは水を吸って雲を作りますが、雲粒は小さくなります。エアロゾルによって作られた雲は雨粒になりにくく、雲の量が増え太陽光をブロックして温暖化を抑えることにもなっているなど気候に大きく影響しています。
また、エアロゾルは硫酸塩や硝酸塩から構成されているため酸性雨を引き起こしますし、大気汚染を引き起こす光化学オキシダントを作り大気汚染の原因になっています。黄砂もエアロゾルの1つとして海洋生態系に影響を及ぼすことが指摘されています。
1μm以下の粒子は遠くまで運ばれるため、広範囲に影響を与える可能性があるのです。
工業用途での重要性
エアロゾル技術は、殺虫剤や塗装で使われるスプレー、プリンターで使われるインクジェットなどに用いられています。
微小なミストをガスで噴射するエアロゾルジェット技術は10μm以下の微小液滴をガスでノズルに移送してノズルから噴射するもので、広範囲でもムラのない印刷を可能としています。
また、医療分野でもエアロゾル吸入療法に用いられ、薬剤を肺・鼻の粘膜から治療部位に届けています。
まとめと今後の展望
エアロゾルの粒子径は環境や人体、工業分野など広範囲で影響を及ぼすものです。エアロゾルの粒子径についての研究が気候変動対策や感染予防につながることから、今後はエアロゾルをどう管理するかについても重要となるでしょう。

















