医薬品
医薬品と粒子径分布測定
医薬品分野における粒子径分布測定は、薬の効果や安全性に大きく影響を与えます。粒子の大きさが違えば、効き過ぎたり効きが悪かったりと薬効にばらつきが見られ、最悪の場合には生命に関わる事態となりかねません。
人体に対して適切な効果をもたらすには、製造・品質プロセスにおける粒子径分布測定が不可欠です。
なお、薬剤によっては日本薬局方において薬剤の粒子径の基準及び試験方法が定められているものもあります。扱う薬剤に合わせた測定原理や粒子径範囲の装置を選択することも重要なポイントとなります。
粒子径分布測定の対象となる物質
食品における粒子径分布測定の対象となる医薬品やその原料、及び測定を行う目的についてご紹介します。
固形製剤の粒子径分布測定
- 物質…原薬
- 達成性能…粉砕・分級後の粒子径分布
- 物質…打錠前の造粒粉
- 達成性能…流動性・充填性・打錠性に適切な粒子径分布
- 物質…白糖・デンプン球状顆粒
- 達成性能…コーティング後の粒子径分布
バイオ医薬品の粒子径分布測定
- 物質…抗体薬(リポソーム・エキソソーム)
- 達成性能…凝集の有無確認
- 物質…タンパク質製剤
- 達成性能…結晶化のための単分散
そのほかの医薬品の粒子径分布測定
- 物質…目薬
- 達成性能…目に入れても痛くない粒子径分布
- 物質…点鼻薬
- 達成性能…鼻の奥まで届く液滴の粒子径分布
- 物質…ネブライザー
- 達成性能…薬剤を含んだ液滴の粒子径分布
医薬品の粒子径を測定した事例
ここでは、医薬品の粒子径を測定した事例についてご紹介します。測定方法や目的、使用した機器、どのような対象物を測定したのか解説しますので、ぜひチェックしてみてください。
虚血性心疾患に使用される散剤の試験を行った事例
医薬品の評価を実施する際、同等品であるかどうかを判断する基準として、溶出時間と溶出率をチェックします。それぞれ溶出状態が異なるため、医薬品ごとに溶出時間と溶出率の試験が必要です。
この事例で用いられた試料は、虚血性心疾患に使用される散剤の医薬品です。試料AとBは、主剤の供給 メーカーが異なる以外、同じ製法で作られた医薬品ですが、明らかな違いが見られます。散剤の溶出試験の場合は、とりわけ主剤の物理的特性が結果に大きく影響すると考えられるため、溶出試験結果と主剤の比表面積測定値の間に相関があるのか検討された事例です。
測定に使用した装置は、自動比表面積測定装置(GEMINI 2360)。GEMINI 2360は、ガス吸着法による比表面積測定装置のことです。独自の双子セルを用いると、多点法比表面積や1点法比表面積を従来の定容法と比較して、短時間に測定できます。溶出試験の結果、試料Bは試料Aより溶出率が高いという結果が出ています。
参照元:島津試験CSC ニュース公式HP(https://www.an.shimadzu.co.jp/sites/an.shimadzu.co.jp/files/pim/pim_document_file/an_jp/applications/application_note/19716/an_csc096.pdf)
錠剤中の原薬粒子径測定を行った事例
錠剤中の原薬粒子径測定を行った事例をご紹介します。ラマン分光法は、ラマン錯乱光という微弱な光を分光して獲得できたラマンスペクトルより、分子レベルの構造を解析する手法を指します。
ラマン分光法と呼ばれる手法を用いると、破壊しなくても、製剤(濃度・成分・粒子のサイズ・分布などの項目)について分析可能です。錠剤の断面について、共焦点ラマンによるイメージング測定を実施。 錠剤中に見られる成分の分散状態を可視化して、その成分比率を推定できます。 また、画像解析処理により原薬の粒子径解析を行い、粒度分布と平均粒子径を算出することも可能です。
参照元:錠剤中の原薬粒子径測定(https://cdnmedia.eurofins.com/apac/media/610865/td004-13-j01_%E9%8C%A0%E5%89%A4%E4%B8%AD%E3%81%AE%E5%8E%9F%E8%96%AC%E7%B2%92%E5%AD%90%E5%BE%84%E6%B8%AC%E5%AE%9A.pdf)
軟膏成分の分散状態を分析した事例
軟膏に含まれている成分における分散状態を確認した事例についてご紹介します。ラマン分光法を用いると、成分の分散状態を可視化できるとされていますが、コンフォーカル機能を使用すると、三次元的にどのように分散されているのか確認可能です。
ラマン三次元イメージング分析を使用し、医薬品に含まれる有効成分を炭酸プロピレンに内包したところ、軟膏の分散状態を確認。基剤である白色ワセリンの中に、炭酸プロピレンの液滴がどのように分散しているのか視覚化できたと言われています。また、画像解析処理を行うと、粒子径の測定も可能です。
参照元:軟膏成分の分散状態分析(https://cdnmedia.eurofins.com/apac/media/610866/td004-14-j01_%E8%BB%9F%E8%86%8F%E6%88%90%E5%88%86%E3%81%AE%E5%88%86%E6%95%A3%E7%8A%B6%E6%85%8B%E5%88%86%E6%9E%90-%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3.pdf)
ラマン顕微鏡による成分マッピングと結晶多形評価を行った事例
ラマン顕微鏡による成分マッピングと結晶多形評価を実施した事例を紹介します。ラマン分光法を採用すると、試料の分子構造や結晶構造の情報も取得可能です。ラマンスペクトルを比較すると、未知物質の同定も行えます。共焦点ラマン顕微鏡にて、 アセトアミノフェン錠の測定を実施。各成分の分布をマッピングが可能なほか、粒度分布の解析も可能とされています。
主薬成分の結晶形の判別が可能とされており、アセトアミノフェンのスペクトルとアセトアミノフェン結晶多形のⅠ形、Ⅱ形のスペクトルを比較しました。 錠剤に含まれるアセトアミノフェンはⅠ形と判明しました。
参照元:ラマン顕微鏡による成分マッピングと結晶多形評価(https://cdnmedia.eurofins.com/apac/media/610863/td004-11-j01_%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3%E9%A1%95%E5%BE%AE%E9%8F%A1%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%88%90%E5%88%86%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%A8%E7%B5%90%E6%99%B6%E5%A4%9A%E5%BD%A2%E8%A9%95%E4%BE%A1.pdf)
錠剤中のHPCのグレード分析を行った事例
錠剤中のHPCのグレード分析を行った事例。デフォーミュレーションとは、配合されている成分を分離・同定・定量するための一連の分析手順のことです。医薬品では、結晶多形の確認を行うほか、ポリマーのグレード分析が実施されています。
ヒドロキシプロピルセルロース (HPC) とは、結合剤や コーティング剤として使用されている医薬品添加剤のことで、分子量によりグレードが分類されます。分子量の違いによって、成分を分離するサイズ排除クロマトグラフィー (SEC) を用いると、錠剤の中にHPCがどのくらい含まれているのかレベルを確認できます。
参照元:錠剤中のHPCのグレード分析(https://cdnmedia.eurofins.com/apac/media/610864/td004-12-j01_%E9%8C%A0%E5%89%A4%E4%B8%AD%E3%81%AEhpc%E3%81%AE%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89%E5%88%86%E6%9E%90.pdf)

















