粒子分布とは
粒子分布の定義
集団で存在している粒子ですが、この大きさには分布があります。粒子径ごとの存在比、分布で表したものが粒子分布です。粒子の大きさを横軸、頻度・存在比率を縦軸にとってヒストグラムを作ったものが、粒度分布グラフとなります。粒度分布は個数基準と体積基準があり、基準によってグラフが変わってきます。
頻度分布の幅が狭いものがシャープ粒度分布です。シャープな粒度分布は粒がそろっている、均一な粒子径分布であることを意味します。ビーズミル業界ではシャープな粒度分布にしたいといった要望があることもあり、粒径がそろっていることで作業が早くなるメリットが得られます。
一方、グラフの山が低く幅が広いものがブロードと呼ばれています。粒度分布がバラバラである、粒径のばらつきが大きくなっていると言えます。作業に時間がかかるケースもあるようです。
抑えておきたい基礎用語
モード径
出現比率が最も大きい粒子径、つまりヒストグラムのピーク値が最頻値であるモード径です。分布の中で最もよく見られるものであり、分布の極大値でもあります。
メディアン径(中央値)
メディアン径は中央値であり、積算の頻度が50%になることから俗にd50とも呼ばれています。粉黛をある粒子径から2つに分けた際、半分がこの値より上、半分がこの値より下にあると定義されるものです。対照的な分布では、メディアン径とモード径がイコールになります。
分布幅
粒度分布を測定する場合、中心値だけでなく分布幅を含めた測定を行います。粒度分布の分布幅は、標準偏差と分散を使用する計算が一般的です。分布幅の表現として、母集団の10%がこの値よりも下にあることを意味するd10や、母集団の90%がこの値よりも下にあることを意味するd90があります。これは、d50と同じルールで定義されているものです。
算術平均
粒子径分布の算術平均径は、粒子径のばらつきが正規分布に従っている場合に用いられるものです。個数平均径、長さ平均径、面積平均径、体積平均径があります。
粒子径分布の種類
粒子径分布には2つの種類があります。それぞれ特徴や目的を紹介しましょう。
頻度分布
頻度分布はヒストグラムのことであり、粒度ごとの体積や個数頻度など粒子の割合を示したものです。基本は正規分布となります。横軸には粒子径、縦軸には頻度(%)・個数を取ったグラフが一般的です。各粒子区間の存在比率を%で見ることができます。
頻度分布で注意すべきポイントは、特定の粒子径の割合を示しているわけではなく、各データに幅が生じてしまう点です。頻度分布は最も多い粒子径の範囲、ばらつきが一目で確認できるものですが、区間設定によりピークが分かるなど読み取れる情報が変わってきてしまいます。
積算(累積)分布
積算分布は、ある閾値より小さい粒子が粉体全体に占める割合を示す分布であり、閾値以下を集計すると「ふるい下積算分布」、閾値以上を集計すると「ふるい上積算分布」と呼ばれます。特定粒子径以上、以下の粒子量が全体の何%あるかを知ることができます。
積算分布は頻度分布と違い、区間設定に依存しないため誰が集計しても同じ結果が得られます。ただし、最も多い粒子径の範囲はグラフの傾きから判断しなければならず、頻度分布よりも読み取るのが難しい特徴もあります。