測定方法~湿式と乾式
湿式測定・乾式測定とは何か・その違い
レーザ回折散乱法(LD)、動的光散乱法(DLS)、動的画像解析法(DIA)などの粒子径分布の測定方法と組み合わせて使用される手法が「湿式測定」と「乾式測定」です。
「湿式」と「乾式」は、サンプルをどのような状態で測定するかを指しています。湿式測定はサンプルを液体に分散させてから測定し、乾式測定はサンプルをそのまま測定する方法です。サンプルに応じて適切な方法を選択することで、粒子系分布の詳細な解析が可能となります。
湿式測定とは
湿式測定は、サンプルを液体中に分散させて粒子径を測定する方法です。サンプルを分散させる液体は、水やエタノール、有機溶媒など、粒子の性質や測定目的に合わせて選択されます。溶媒を使うことでサンプルを分散させやすいため、一般的な方法として用いられています。
湿式測定のメリット
湿式測定を用いることで、粒子同士の凝集を防ぎ、各粒子の粒径を正確に測定することができます。一次粒子に近い状態での分布が得られるため、精度の高い測定が可能です。
測定範囲も広く、ナノメートルからミリメートルまでの幅広い粒径の粒子を測定できるほか、画像解析法などを組み合わせることで粒子の形状情報も取得できます。
湿式測定のデメリット
湿式測定ではサンプルを分散させる必要があるため、試験に時間がかかるほか、装置を洗浄する手間が増えたりすることがデメリットであるといえます。装置の洗浄が不十分だと、他サンプルの測定に支障をきたす恐れもあるでしょう。
またサンプル分散のための溶媒が必要であることから、コストの面でも負荷がかかる可能性があります。
湿式測定の適用分野
湿式測定は、以下のような分野において適用されています。
- 製薬:医薬品の製造過程や品質管理
- 食品:食品の味覚や舌触り、喉ごし
- 化学:化学反応の速度や生成物の性質を測定
- 材料科学:新素材の開発や既存素材の性能改善
乾式測定とは
乾式測定は、粒子をそのまま測定する方法です。主に空気を用いてサンプルを分散させ、レーザ光などで粒径を測定します。
乾式測定のメリット
乾式測定は測定するサンプルを選ばず、大量測定が可能です。また、湿式測定と異なりサンプルを溶媒に分散させる必要がありません。分散や洗浄にかかる工程を省略できるため、試験時間が短縮できます。さらに溶媒を必要としないことから、ランニングコストを抑えられる測定方法であるといえるでしょう。
乾式測定のデメリット
湿式測定と比較すると粒子が凝集しやすいため、精度が低くなる可能性があります。また、微細な粒子や粘着性の高い粒子の測定には適さない場合もあります。
乾式測定の適用分野
乾式測定は湿式測定と同様、医薬品や食品など多岐にわたる分野で用いられますが、特に以下のようなサンプルに適しています。
- 水や溶媒に分散させると溶解しやすいサンプル(食品や医薬品など)
- 水や溶媒に分散させると膨潤するサンプル(ポリマーや樹脂)
- 撥水コーティングされた粉末
- 乾燥した状態で測定したほうがよいサンプル(粉末塗料)