粉体
粉体とは(粉体の定義)
粉体とは、固体微粒子の極めて多数の集合体であり、各粒子の間に適当な相互作用力が働いている状態のものと定義されています。
固体物質を構成する繊細な粒を粒子であるのに対して、固体物質がきわめて細かい粒の集まりとなっている状態が、粉または粉体です。
粒子径によって粉体の表現も異なり、50μm~1mm以上を「粒体」、3μm~1mm未満を「粉体」、0.01μm~10μmを「微粉体」、0.0001μm以上~0.3μmを「超微粉体」と表現されています。
粉体中の粒子は、球形、角形、不定形など、さまざまな形状をしており、形状は粉体の性質や用途に影響を与えます。粉体を用いた製品は、その粉体物性により製品性能、生産性に影響を与えます。
粉体の具体的な例
- 化学製品・建設材料…原鉱、粉鉱、塊鉱、浮選、精鉱、粘土鉱物、糊材、艶消材
- 食品…穀物、デンプン、小麦粉、化学調味料、粉乳、砂糖、塩、抹茶
- 化粧品…パウダー、染料、顔料
- 医薬品…錠剤、カプセル、粉末薬
などがあります。
粉体の粒子径分布測定や形状評価をする目的
計測には、粒子径のサイズによってレーザ回折・散乱法(LD)、動的画像解析(DIA)、動的光散乱法(DLS)の装置が対応します。
粉体の粒子径分布測定を行う目的は、大きく分けて以下の4つです。
粉体物性の理解と予測
粉体の物理的な性質(流動性、充填性、粘度、反応性など)は、粒子径分布によって大きく影響を受けます。粒度分布を測定することで、これらの物性を理解し、予測することができます。
また、粉体の物理的な性質において、粒子形状は重要なファクターの一つです。円形度・アスペクト比・凹凸度などの形状解析を行うことで、これらの物性をより深く理解し、予測することができます。
製品品質の管理
粉体製品の品質は、粒子径分布によって大きく左右されます。例えば、塗料の隠蔽性、化粧品の肌触り、医薬品の溶解性などは、粒子径分布によって決まります。粒度分布を測定することで、製品品質を管理することができます。また、形状解析を行うことで、製品品質をより詳細に管理することができます。
製造プロセスの管理
粉体製造プロセスにおいては、粉砕、混合、分類などの操作が行われます。これらの操作の効果を評価するためには、粒度分布を測定する必要があります。粒度分布を測定することで、製造プロセスを管理し、最適化することができます。
研究開発
粉体に関する研究開発においては、新しい粉体材料の開発、粉体製造プロセスの改良、粉体物性の解明などが行われています。これらの研究開発においては、粒度分布測定は不可欠なツールとなります。
粒子径分布測定の具体的な例
- セメント:粒度分布が大きすぎると強度が低くなり、小さすぎると作業性が悪くなる
- 医薬品:粒度分布が大きすぎると溶解性が低くなり、小さすぎると体内に吸収されにくくなる
- 食品:粒度分布が大きすぎると口当たりが悪くなり、小さすぎると味や風味が損なわれる
形状評価の具体的な例
粒子の形状(球形、多角形、繊維状など)、大きさ(長さ、幅、厚さなど)表面性状(滑らか、粗い、多孔質など)、アスペクト比(長さ/幅など)、円形度、粗さなどを評価できます。
- セメント…粒子が球形に近いほど、強度が高く、流動性が良くなる
- 医薬品…粒子が多孔質構造を持っていると、溶解性や吸収性が高くなる
- 食品…粒子が滑らかな形状をしていると、口当たりが良くなる