ふるい分け試験との違い
ふるい分け試験とは?
「ふるい分け試験」とは、その名の通りふるいを用いて粒子状および粉体上物質の粒度分布を測定する場合に使用する方法であり、伝統的に使用されてきた方法として知られています。
測定を行う際には、異なる大きさの目を持つふるいをいくつか使用し、粉体をふるいにかけることによって粒度を求めていきます。また、粒度分析についてはそれぞれのふるいにキャッチされた粉体の質量を測るという形を用いて求めることもできます。
ふるい分け試験を行う場合、ふるいが目詰まりを起こす場合があります。この時には硬いブラシなどでは擦らず、目詰まり除去ブラシや圧縮空気などで粒子を除去していきます。また、目詰まりした粒子を除去した後のふるいは、目詰まりや金属線のゆるみ、破損がないかどうかを確認してから使用します。
ふるい分け試験のメリット
ふるい分け試験を行う場合に得られるメリットには、さまざまなものがあります。例えば、「使いやすい方法である」という点や「必要な投資費用が最小限で済む」といった点に加えて、「比較的短い時間で正確・再現性のある結果が得られる」、「粒度画分を分離できる」といった点などが挙げられています。
ふるい分け試験の種類
ふるい分け試験には、下記の「乾式ふるい分け」、「湿式ふるい分け」、「エアージェットふるい分け」の3つの種類があります。ここでは、それぞれの特徴についてご紹介していきます。
乾式ふるい分け
乾式ふるい分けとは、ふるい分け試験のひとつであり、気体中で行うふるい分けのことを指します。こちらの方法での代表的な粒子径レンジは「40μm〜125mm」となっており、通常広く行われている方法です。
湿式ふるい分け
湿式ふるい分けとは、液体を分散媒体として用いるふるい分けを指しています。液体には一般的には水が使用されますが、網面全体または網面の一部を水中に入れた状態や、シャワーのように水を流しながらふるい分けを行っていきます。こちらの方法の場合、代表的な粒子径レンジは「20μm〜20mm」であるように、粒子径の小さい凝縮性の粉体を対象として使用されることが多い方法となっています。また、付着凝縮性が高い試料の場合にも用いられています。
ただし網目が数十μmとなっている場合には網面に水膜ができてしまいふるい分けが難しくなることから、水膜ができるのを防ぐために網全体を水中に浸すなどしながら試験が行われます。
エアジェットふるい
エアジェットふるいとは、ノズルから網面に向かって噴き上げる空気圧を利用し、ふるいの目詰まりを解消させながらふるい分けを行うことができる装置を使用する方法です。
エアジェットふるいが行える装置では、ふるい網の下に回転ノズルを取り付けてここから空気を出すことによって、網の上にある粒子を吹き飛ばしていきます。ふるい網の上部に流れた空気は、その後下向きに流れていき粒子を網面に落下させることによって、ふるい分けを行います。さらに、回転ノズルを使用しているため網全体に空気圧をかけることができ、ふるいの目詰まりを解消できる点もこちらの方法の大きな特徴といえます。
このエアジェットふるいを使用することによって、これまでふるい分けが難しかった大きさの粒子でもふるい分けができるようになる点に加えて、素早くふるい分けを行える点も特徴のひとつといえます。エアジェットふるいの場合、代表的な粒子径レンジは「10μm〜0.2mm」となります。
ふるい分け試験と動的画像解析の違い
ふるい分け試験と動的画像解析はさまざまな点が異なります。ここでは、「測定可能な粒子径の違い」「測定方法の違い」「測定の手軽さの違い」という3点についてご紹介します。
測定可能な粒子径の違い
ふるい分け試験と動的画像解析の違いとして、「測定できる粒子径の違い」が挙げられます。ふるい分けの場合には、用いるふるい分け試験の種類にもよりますが、10μm〜の測定を行うことが可能です。
それに対してDIAなどの動的画像解析の場合、およそ1μmよりも大きなサンプルに適用できる粒子特性評価法となっており、バルク品や粉末、顆粒などの日常測定に適している粒度分析測定法とされています。このような背景から、動的画像解析も多く用いられている方法となっています。
測定方法の違い
ふるい分け試験と動的画像解析では、「測定方法」にも違いがあります。
例えばふるい分け試験は、限られた数の粒子を測定するものです。それに対して、DIAなどの動的画像解析を行った場合には、試料中の粒子を全て検出することができる点が大きな特徴といえます。
測定の手軽さの違い
2つの測定方法には、「どれだけ手軽に測定ができるか」といった点でも違いがあります。
まずふるい分け試験を行う場合には試験のために必要となる投資費用が最小限で済むという点、さらに使いやすいといった点などから、伝統的に使用されてきた測定方法となっています。この点は、ふるい分け試験を行うメリットとしても挙げられています。
対してDIAなどの動的画像解析を行う場合には、解析を行うための設備や機器を用意する必要があります。また、解析の精度を維持するために設備や機器について定期的な手入れを行うことも求められます。このように、2つの方法には測定を行う際の手軽さにも違いがあるといえます。
まとめ
こちらの記事では、ふるい分け試験についてご紹介しました。ふるい分け試験は、粒子状および粉体上物質の粒度分布を測定するために、伝統的な方法として用いられてきた方法です。このように、粒度分布を測定するための方法にはさまざまなものがありますので、目的などに適した方法を選択することが大切であるといえるでしょう。